【本の要点】
- 「時間を有効に使いたい。」最近時間術の本がたくさん売られていますよね。
それらによく書かれているのが「タスクを小さく分割して、隙間時間を活用しよう」「締切設計して達成のモチベーションを上げる」など。
しかしこれらの技法で長期的な効果を実感した人は多くありません。
それはなぜか?実は技法ごとに合う人と合わない人がいるからなのです。 - 我々が本当に気にするべきことは時間術ではなく”時間感覚”なのです。
時間は平等。しかし時間感覚は個人差があります。 - 自分がどの”時間感覚”タイプなのか?それを確かめるテストが用意されています。
自分のタイプを理解して、自分に合った時間術を使いましょう。
著者について
刺さった箇所6選
時間術と仕事のパフォーマンスには「r=0.25」の相関しかない
”r”は2つのデータにどれくらい深い関わりがあるのかを表す数値
このデータで使われた分析法では、rが0.5以上なら「大きな関係がある」と判断されるとのこと。
つまり時間術と仕事のパフォーマンスはさほど関係がないということです。
時間術がもっとも効果を発揮するのは「人生の満足度」とのこと。r=0.72もあります。
時間の効率を気にするほど作業の効率は下がってしまう
❶時間効率の追求が判断力を下げる
❷時間効率を上げるほど創造性が低下する
これ衝撃を受けました。私も時間術に関する本はいくつか読んできましたが、こんなことは1ミリも書かれていませんでした。
いくつもタスクを効率よくこなしていると、段々と脳に限界が来て適切な選択をする能力が下がってしまうとのこと(「トンネリング」と呼ぶ)。
「時間をマネジメントする」という発想の根本に無理がある
こちらも時間術の本をいくつか読んできた私からすると衝撃を受けました。世に出ている時間術の本は「時間をマネジメント」することをテーマにしているものがほとんどだからです。
それほど「時間マネジメント」に需要があるということ。
つまり時間の使い方など考えるだけ無意味ということ?

私はタスク管理などで「時間をマネジメント」しているつもりなので少し心配になってきましたw
時間の流れは意識の錯覚に過ぎない?
人間は誰しもが過去と未来を客観的なものであるかのように考える。しかし、実際の時間はみなが思うような確固たる存在ではない。ならば時間の流れとは、実は意識の錯覚に過ぎないのではないか
みんな最初ポカンとなる話ですよね。未来と過去はあるのが当たり前です。
しかし、過去と未来は存在しない考え方は意外に唱えている人が多い。

私が以前紹介したアドラー心理学の本でも似たことが書かれていました。
人間は「時間の流れ」など実感できておらず、世界の変化率を「時間」と呼んでいる。
脳が持つ確率の計算機能を考慮すると、私たちが感じる過去と未来は、こう表現できます。
◉未来=いまの状態の次に起きる確率が高い変化を、脳が「予期」したもの
◉過去=いまの状態の前に発生した確率が高い変化を、脳が「想起」したもの
これすごく面白い話だと思いました。我々が時間の流れを感じているのは幻想なんですということ。
確かに人間には五感がありますが、いずれも時間の流れを感じる器官はついていないんですよね。
つまり”何かを時間の流れと勘違いしている”のです。

筆者はそこから正しい時間術を『あなたの「予期と想起」を調整するものである』との結論に辿り着きました。
生産性を上げれば上げるほど忙しくなる
「ギリシャ神話と登場するヒドラは、頭をひとつ切り落とすと、続けてふたつめが生えてくる。同じように、私たちが多くの仕事をこなすと、より忙しくなる」
生産性を上げるって意識高い系が大好きなことじゃないですか。生産性を上げれば仕事をより早く終わらせられる、と。
でも実は生産性を上げて自分のタスクを終わらせても、他のタスクを任されたり、最初気づかなかった別のタスクができたりとむしろ忙しくなってしまうとのこと。

時間効率を求めて自由時間を増やそうとすると、逆効果になることもあるのですね。
3行ノート
この本を読んだ方に併せてオススメしたい本
◎「嫌われる勇気」岸見一郎・古賀史健

人生は連続する刹那であり、過去も未来も存在しません。
あなたは過去や未来をみることで、自らに免罪符を与えようとしている。
過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。
哲学者「哲人」とアドラーの考えに賛同しかねる「青年」との会話調で進められています。
内容は少し難しめ。
読んでみて面白かったら続編「幸せになる勇気」も併せてどうぞ。
◎「心配事の9割は起こらない」枡野俊明

心配事の”先取り”などせず、「いま」「ここ」だけに集中しましょう。
ポイントは、減らす、手放す、忘れるーー。
そうすることで、もっとラクに、のびのびと、前向きに生きている自分に出会うことができるでしょう。
禅の視点から無駄を削ぎ落としてシンプルに生きる知恵が書かれています。
心配性の方や常に余裕のない方など一度読んでみてほしい。