【本の要点】
- どんな人間も「バイアス」の影響を受けます。バイアスとは「思い込み」のこと。
ある結果Bが起きたとき、「Aが原因だ、そうに違いない。」と考えるでしょうが、果たしてそれは正しいのだろうか?他の原因は考えられないだろうか?
人はそうした「確証バイアス」に捉われて、そこに思考の穴ができます。
思考の穴を塞ぐのはとても難しい。人間からバイアスを取り除くことはほぼ不可能です。
本書はこうした「バイアス」やそれに似た事象を具体例をふんだんに交えながら紐解いていきます。 - 「確証バイアス」について。
ある事象の是非について、はじめに自分の意見を持っていた場合、逆の意見にあまり目がいかなくなります。
自分が信じる方を裏付ける証拠を集めるようになります。より深みにはまっていくのです。
確証バイアスは厄介で、できないことをさもできると思い込んでしまったり、計画を甘く見積もってしまったりしてしまいます。
確証バイアスは取り除くことはできません。しかし和らげることはできます。
不確定要素に身を投じることです。いつもと違うお店に行ってみたり、違う道を歩いてみたり…。 - 「ネガティビティ・バイアス」について。
人は本能で「損をしたくない!」と思い込みます。
「ネガティブな情報」に過剰に影響されるのです。4つのポジティブなレビューより1つのネガティブなレビューの方に影響されてしまう。
これが本書で登場する「損失回避」「保有効果」に繋がるのです。 - 脳が勝手に「解釈」することについて。
人は、最初に思い込んだことを信じ続けようとします。
賢い人なら正しい解釈ができると思ったらそうではなく、逆に知的な人ほど歪んだ解釈をしてしまうことだってあります。
事実を「自分の考え」に一致させようともするのです。
このバイアスはとても強く、自分では止められません。相手をこのバイアスから解き放つこともほぼ不可能。
著者について
刺さった箇所7選
人は新たな知見を得たときに、それが見出された経緯を知ると、その知見が真実だと信じる気持ちが強くなるのだ。
人は基本的なメカニズムを思い描くことができると、相関関係に因果関係を見出そうとする傾向が強くなると判明した。手持ちのデータはまったく同じでも、結果が生まれるまでのプロセスを流暢に思い描くことができると、それを因果関係だと早合点する傾向が強くなるのだ。
追加情報を得ると「本当らしく」思えてしまうハナシ。私も信じてしまいそう。

一度「はーなるほど!」って思うと他の視点が見えなくなってしまいそう
何かを完了させるのに必要な時間と労力は、少なく見積もられることが多い。
私はこれに当てはまります。私だけかと思っていましたが、結構一般的なんですね(これを「計画錯誤」と呼びます)。
計画錯誤をしてしまう原因が「希望的観測」。
計画錯誤は過信の1種であり、つまり流暢性が関わってきます。
計画錯誤に対抗するには、実際の予想より50%多く見積もることが良いそう。
一般に、楽観的になるのはいいことだ。楽観的になると、ストレスが軽減されて幸福感が高まりやすい。幸福を感じてストレスが軽くなれば、心身を感じてストレスが軽くなれば、心身どちらの健康状態も改善する。おそらく、そのおかげで楽観主義者は長生きなのだ。
楽観主義は流暢性を加速させます。失敗の可能性を考えなくなるので一見デメリットですが、ストレスがたまらないメリットもあります。

私は楽観主義とは程遠い存在。楽観主義の知り合いとか見ているとホント羨ましく思います。
良い塩梅の楽観主義になりたいですね。
「自分が正しい」と思える証拠ばかり集めてしまう
確証バイアスとは、人が「自分が信じているものの裏付けを得ようとする」傾向のことを指す。
無意識にやってしまう方、多いんじゃないでしょうか?

確証バイアスに捉われると、偏った意見になり、反対の意見を聞かなくなってしまう。これは勿体無い。
歴史的な出来事に限らず、どんなことにもそれが起こる原因となりうるものは無限にある。とはいえ、原因として妥当に思えるものの数を絞ることはできるし、最善の絞り方を誰もが知っている。それは、因果関係を推論するときに使われる手がかりや戦略が、ある程度、人々に共通しているからだ。
人はこの「手がかり」から原因を考える
何かが起こったとき、その原因を考える際、原因となりうることは無限大にあります(んなわけねーだろってレベルの半こじつけ的なのも含めて)。
人はいくつかの「手がかり」を使って絞り込みます。それは
「類似性」「十分性と必要性」「親近性」「可制御性」
です。

この後、各「手がかり」を具体例を交えて説明されています。
エビデンスより「友だちの話」を信じてしまうー日々の生活のなかで、明らかに理屈に合わない判断を下さないようにするためには、そうした資料の数字をより深く理解する必要があり、そのために知っておく概念が少なくとも3つある。
その3つとは「大数の法則」「平均への回帰」「ベイスの定理」だ。
エビデンスより身近な人の話を信じてしまう、結構あるあるじゃないでしょうか?
本書によると、「人の思考は基本的に、自らの視覚、触覚、嗅覚、味覚、聴覚で感じ取れるものに基づいて行われる」とのこと。つまりエビデンスはあまり身近なものではないから知り合いの話に信ぴょう性で負けてしまうというわけです。
人は「ネガティブな情報」に過剰に影響されるー「ネガティビティ・バイアス」
同じことでも「切り取り方」で簡単に騙される
ネガティブな意見に影響される、日常でよく感じます。例えば、行ったことないお店を事前に調べる際、星4,5の意見より星1,2の意見が頭に残ってしまう。
これを利用すれば同じ商品を売る際に、その商材の情報の「切り取り方」次第で成約率が変わってくるでしょう。
3行ノート
この本を読んだ方に併せてオススメしたい本
◎「99%はバイアス」ひろゆき

いくら説得しようとも、データを与えようとも、意外と人は真実を信じない。聞く耳を持っていないと、効果がない。自分で自分に「思い込みがあるかもしれない」と、気づかないといけないのだ。自分自身は思い込みから逃れ、逆に、他の人はあなたに対して思い込みを持つ。そのギャップが、「影響力」になる。
本書のテーマと同じ「バイアス」について紐解いていきます。
「同調圧力」「承認欲求」などテーマごとに章が分かれています。99%がバイアスなら残り1%は何か?それは「努力」。「1%の努力」も併せて読んでみてください。
◎「革命のファンファーレ」西野亮廣

ものの売り方が変わり、働き方が変わり、お金の形が変わり、常識が変わり、道徳が変わっていく。超高速回転で。そして、残念なことに、経験したことを僕らに教えてくれる存在であったハズの親や先生は、この革命を経験していない。
今の時代にあったお金を集める方法、広告手法を追求しています。
自身の絵本「えんとつ町のプペル」の無料公開をはじめとした、常識に反した方法で成功されました。